PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

広報部長とは?役割・業務内容・必要なスキルとキャリアパスを解説

広報の最前線に立ち、経営と現場をつなぐ役割を担うのが「広報部長」です。単なる情報発信の責任者にとどまらず、企業ブランドを守り育て、社会との信頼関係を構築する上で欠かせない存在といえます。メディア環境や情報流通が急速に変化する中、広報部長にはこれまで以上に多様な視点と高度な判断力が求められています。

では、広報部長には具体的にどのような役割や責任があり、広報部門にはどのような役職が存在するのでしょうか。本記事では、広報部長の基本的な役割や日常業務、そしてキャリアを築くうえで必要となるスキルを詳しく解説していきます。

広報部門における役職と階層とは?

広報PR部門の役職は、企業の規模や組織構造によって異なりますが、一般的には「部長」「マネージャー」「担当者」のの3階層が設定され、組織の成長や広報活動の規模に応じて役割が細分化されていきます。

その他、メディアリレーションズ担当、SNS担当、社内広報担当、CSR推進といった領域ごとに専任担当を配置し、専門性を発揮するケースも増えています。

その中でも広報部長は、部門の最上位として組織全体を統括し、経営戦略と広報戦略を結びつける重要なポジションです。本記事では、広報部門の役職の中で最上位となる「広報部長」に焦点を当て、その役割や求められるスキルについて解説していきます。

広報部長の役割とは?

企業の今後の経営方針を決定するために、ステークホルダーとの関係構築、社外とのコミュニケーションの強化は欠かせません。それらを戦略的に取り組みながら、自社の広報マネジメントも行うポジションが広報部長です。

まずは、広報部長に求められる5つの役割をご紹介します。

1.経営トップの補佐をする

広報部長に求められる1つ目の役割は、経営トップの補佐役です。広報部長は、企業における情報参謀を務めています。世の中の動き、自社とステークホルダーとの関係がどうなっているのかを把握し、経営トップの判断材料として提供する、重要な役目を担っています。

より精度の高い情報を把握するためには、社外とのコミュニケーションを取ることが必要です。広報の視点だけではなく、経営者の視点をも持って、情報を取捨選択することが求められます。

2.経営戦略と広報戦略の橋渡しをする

広報部長に求められる2つ目の役割は、経営戦略と広報戦略の整合性を取り、橋渡しをすることです。

広報部長の重要な役割の一つに、経営層が描く中長期戦略を、広報活動として実行可能な形に落とし込むことがあります。企業が掲げる理念や事業計画を社会にどう伝えるかを考え、広報戦略として設計・実行することが求められてるのです。

例えば、新規事業や海外展開といった経営施策をプレスリリースやイベント、メディア露出でサポートし、経営の方向性と外部への発信を一致させることが求められます。

3.社内外のキーパーソンとの関係構築

広報部長に求められる3つ目の役割は、社内外のキーパーソンとの関係構築です。

社内外での人脈作りは、広報の業務を進めるにあたり、もっとも重要な部分と言っても過言ではありません。キーパーソンとの良好な関係が、スピード感を持って広報活動を行う際の要となるからです。

ニュースになりそうな社内の情報を効率良く集めるために、インナーコミュニケーションの活性化も重要な役割です。

4.企業の危機管理

広報部長に求められる4つ目の役割は、企業の危機管理です。事業を展開している限り、どの企業も不測の事態に遭遇する可能性があります。

企業内の危機管理委員会に属する広報部長は、リスクの洗い出しから緊急時における対応マニュアルの作成、緊急時の対応などを担当することが多いでしょう。定期的な見直しやシミュレーションを行い、緊急事態に備えておくことも大切な役割です。

5.広報PR活動における目標とゴール設計

広報部長に求められる5つ目の役割は、広報PR活動における目標、ゴール設計です。

広報担当者がどのように行動すれば良いかを明確にするため、KPIやOKRなどの目標の設定はマストです。広報活動において何を目標に設定するのかは企業によって異なります。例えば3つのKPIを設定する企業もあります。

  • 活動KPI…インタビュー数、プレスリリースの配信数などの数
  • 露出KPI…メディアへの露出件数
  • 結果KPI…企業の認知度の変化などを調査して把握する

自社の広報部門で何を目標とするのが最適なのか、事業フェーズに合わせて更新していくことも重要な業務です。

広報部長はどんな仕事をしているの?主な3つの業務内容

広報部長の仕事は、経営者視点と、いち広報担当者としての視点を交えながら仕事を行っていることがわかりました。

では、広報部長は実際にどのような業務を行っているのでしょうか。

次に、広報部長の主な3つの業務についてご紹介します。

1.事業戦略に合わせた広報計画の策定

広報部長の主な業務の1つ目は、広報計画の策定です。広報計画は企業の成長に欠かせません。経営トップが作成した年単位の事業計画・事業戦略に合わせて、効果的な広報計画を策定するのは広報部長の仕事のひとつです。

世の中の動きを読みながら、事業計画通りに事業を拡大させていくにはどんな活動が必要なのか。具体的な施策も合わせて広報計画を策定します。

2.メディア対応

広報部長の主な業務の2つ目は、メディア対応です。役職の有無に関わらず、メディア対応は広報担当者の基本的な仕事です。

企業の成長に伴い、テレビや新聞、海外メディアでの掲載と露出の規模は大きくなっていきます。経営トップへの取材申込、露出のコントロールは広報部長が担当することが多いでしょう。

3.広報マインドの育成

広報部長の主な業務の3つ目は、広報マインドの育成です。広報部長は、広報のスペシャリストとしての高い知見と、世の中の動きを的確に把握する感度を備えています。

これらの広報の現場で培った知識や経験は、広報部門全体で共有し、チーム全体の底上げをすることが広報部長の仕事です。長期的な視点で企業の利益になるよう、広報部署に所属する社員の広報マインドの育成、ナレッジの共有は広報部長の重要な業務のひとつだといえるでしょう。

広報部長を目指すために必要なスキル9選

時代に合わせて、広報に求められるスキルは変化していきます。情報の量もスピードも早い現代では、以前より多くのスキルや知識を積極的に吸収する姿勢が大切です。

次に、広報部長を目指すために必要なスキルを9つご紹介します。

これから広報としてスキルアップを目指す場合は、これらのスキルを意識的に身に着けるといいでしょう。

アイデア

1.ブランディング設計力

広報部門を束ね、自社のブランディングに関わる広報部長になるには、高いブランディング設計力が必要です。企業戦略を軸にしながらも社内外の様々な情報を取り入れ、どのような見せ方が適しているのかを判断し、年間の広報計画を作成します。

2.コミュニケーション能力

広報部長だけでなく、一広報担当者としても欠かせないのがコミュニケーション能力です。

広報は企業の顔と呼ばれることもあり、企業へのイメージを左右する重要なポジションにいます。自社にとって適切なタイミングでのメディア露出を狙うには、日頃から良好な関係を築く必要があります。

その際、外部との関係を一から築く高いコミュニケーション能力と、インナーコミュニケーションを円滑に進める能力は欠かせません。

3.時流を読み取る力

広報部長を目指すにあたり、時流を読み取る力はもはや必須スキルです。SNSの普及により、現代はスピード感を持った取り組みが非常に重要となっています。

世の中の流れをデータや空気感から読み取り、流行りはじめているものは何か、アップデートするべき価値観は何かなどを判断し、自社の広報活動に取り入れられるスキルが必要です。

4.文章力

広報部長を目指すならば、高い文章力も身につける必要があるでしょう。

メディアやステークホルダーとのコミュニケーションは、基本的に文章で行います。プレスリリースの作成や、メディアへの自社取材の打診など、相手の心を動かし、興味を持ってもらうためには、自社の想いを他者に伝えられる文章力も重要となります。

5.課題設定力・課題解決能力

広報の仕事を行ううえで、課題設定力・課題解決能力は鍛えておきましょう。

広報部門の仕事は誰かに与えられるものではなく、自ら課題を発見し、解決していかなくてはなりません。自社にどんな課題があり、どんな手法で解決へ導くのか。課題設定から解決方法を見出し、実行に移せる行動力は必須スキルです。

6.情報を拡散させる知識

情報を拡散させるためのノウハウは、これから広報部長を目指す方にはぜひ身につけておいてほしいスキルです。

膨大な量の情報が企業・個人から発信される現代において、情報の流れをデザインできるスキルは重宝されます。届けたい人に届けるために適した媒体は何か、社外の関係者にどんな協力を仰ぐのか。発信する情報によって最適な手段を選べるよう、知識は常にアップデートしていきましょう。

7.リスクマネジメント能力

広報部長として、リスクマネジメント能力は間違いなく必要なスキルです。SNSが広く普及した現代では、企業のネガティブな情報は一気に拡散されていきます。

リスクをゼロにすることは難しいですが、危機に備えて準備することは大切です。リスクを減らすためにSNSでの社員の発言をルール化したり、日頃から世の中の動きをチェックするリスクマネジメント能力も身につけておきましょう。

8.デジタルPR・SNS運用スキル

現代の広報活動では、SNSやデジタルメディアを活用した情報発信が欠かせません。広報部長自身も、最低限のSNSのアルゴリズム理解やデジタルキャンペーンの企画力を持つことが求められます。

また、炎上や誤情報拡散といったリスク対応もデジタル特有の課題です。単なる広報スキルではなく、デジタルマーケティングの視点を持ち、スピーディかつ柔軟に情報を発信・管理できる力が必要です。

9.データリテラシーと分析力

情報が氾濫する時代において、広報部長にはデータを正しく読み取り、戦略に反映する力が不可欠です。検索トレンドやSNSの反響分析、メディア露出数などの定量データを扱うだけでなく、そこから導かれる定性的な示唆を読み解き、戦略に落とし込む力が求められます。

さらに、データを基盤に意思決定を行う「データドリブン」な姿勢が重要です。勘や経験だけに頼らず、数値的な根拠をもとに仮説を立て、施策の効果検証を繰り返すことで、広報活動の精度と再現性を高められます。

加えて、データの取り扱いには法律的な理解やリスクマネジメントの観点も欠かせません。個人情報保護や著作権、機密情報の管理などに配慮しながら、安全かつ効果的にデータを活用できることが、信頼される広報部長の条件といえるでしょう。

広報部長を目指す場合、広報実績を数値化していこう

広報部長は、自社の動きと世の中の流れを数値で把握しながら、経営トップの補佐として様々な情報を提供し、広報チームを牽引するのが大きな役目です。定性的な部分も把握しながら、広報部門の活動の方向性を決定付けるため、実績を数値で積み上げていくことも忘れてはいけません。

広報部長を目指している方は、本記事で紹介した身に付けたい7つのスキルを参考にしながら、企業の戦略的広報やマーケティングをリードする広報部長を目標にしてみてはいかがでしょうか。

広報部長の役割に関するQ&A

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

佐藤 杏樹

佐藤 杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

このライターの記事一覧へ