プレスリリースは、記者が記事を書くための情報源であり、取材やテレビ番組に取り上げてもらうきっかけとなる文書です。しかし今やプレスリリースはメディアへのアプローチとしての役割だけでなく、活用方法が広がっています。その中のひとつが、私たち広報PRの担当者ではない、他の事業部による活用です。
本記事では、営業を担当している事業部の方々がプレスリリースを活用する5つの方法とそのポイントをご紹介します。
プレスリリースを営業に活用する意味と効果
プレスリリースは単にメディア露出を狙うための資料ではなく、営業活動を強化する「武器」として活用できます。公式情報としての信頼性や社会的な注目度を背景に、商談時の説得材料や関係構築の突破口となり、営業成果の最大化につなげられるのです。
まずは、プレスリリースを営業に活用する意味と、効果について解説します。
信頼性のある第三者発信として営業活動を後押しする
プレスリリースは企業が自ら発信する情報でありながら、「報道機関や配信サービスを通じて公開される一次情報」である点が大きな強みです。営業担当者が顧客に説明するよりも、公式リリースやメディア記事を提示することで「外部からも認められた情報」として信頼性が増します。
特に資金調達、業務提携、新サービス発表などは、営業資料として提示するだけで安心感を与えられます。客観的な裏付けを伴うリリースは、営業担当者の主張を補強し、商談をスムーズに進める後押しとなってくれるでしょう。
情報の鮮度を武器に商談の突破口をつくる
プレスリリースは発表時点で「最新情報」であることが保証されるため、営業現場において「今まさに成長している企業」という印象を与えることができます。例えば、直近の導入事例や新サービスをリリースにまとめ、それを商談に持参することで、他社との差別化が可能です。
また、顧客にとって「旬な話題」を提供できるため、商談のアイスブレイクや話題作りにも有効です。情報の鮮度を活かすことで、信頼だけでなく、商談を前進させる突破口としても活用できます。
組織全体で一貫性のあるメッセージを届けられる
営業担当者ごとに伝え方が異なると、顧客に混乱を与え、企業の印象を損ねることがあります。プレスリリースを活用すれば、全社員が「同じ言葉」「同じ根拠」で顧客に説明できるため、組織全体で一貫したメッセージを届けられます。
特に新規事業や新サービスの立ち上げ時は、広報と営業が同じストーリーを共有することで、社外へのメッセージ発信がブレません。こうした「言葉の統一」は、顧客の理解度や信頼感を高め、営業活動全体の質を引き上げます。
プレスリリースを営業に活用する6つの方法
では実際に、営業のシーンでプレスリリースを活用するには、どのような方法があるのでしょうか。具体的な6つの方法をご紹介します。
活用方法1.商談資料に盛り込む
プレスリリースの1つ目の活用方法は、商談資料への掲載です。
プレスリリースは、自社に関する情報を、社会やメディアへ公開する必然性やストーリーなどがわかりやすくまとめられています。そのため、自社の商品やサービスを簡潔に説明する際にも、適した内容となっているでしょう。
商談の際に、商談資料としてプレスリリースを用いて紹介するのもおすすめです。
また、プレスリリースを配信しているということは自社として力を入れている、積極的に発信したいと考えている商品やサービスということです。営業先・取引先に自社の姿勢をアピールする上でも、プレスリリースを配信していることを商談内で紹介するのも有効です。
活用方法2.リード獲得につなげる
プレスリリースの2つ目の活用方法は、リードの獲得ツールとしての利用です。
プレスリリースはPR TIMESのようなプレスリリース配信プラットフォームを使うことで、メディア以外の方々にも直接情報を届けることができます。さらにSNSの利用を積極的に活用している企業であれば、プレスリリースを社員がシェアすることで、情報の拡散も期待できます。
これにより、取引先や、見込み顧客などの目に触れる可能性があるため、プレスリリースがきっかけで新規取引先からの問い合わせを獲得できるチャンスとなりえます。
新商品・サービスに関するプレスリリースはもちろんですが、リード獲得を目的としたイベントの告知等もプレスリリースで配信するトピックスに追加しても良いでしょう。
活用方法3.商品・サービスのLPの代用にする
プレスリリースの3つ目の活用方法は、LPとしての代用です。
プレスリリースをコーポレートサイトや、プレスリリース配信プラットフォームにアップすることで、より多くの人に届けることができます。そのため、LPまで作り込んでいない商品やサービスなどであれば、プレスリリースがLPの役割を果たすことができます。
活用方法4.既存顧客へアナウンスする
プレスリリースの4つ目の活用方法は、既存顧客へのアナウンスです。
既存顧客とのリレーション強化を目的に自社の新商品やサービスをDMなどで連絡する際には、情報がまとまっているプレスリリースを活用すると便利です。メール文にこと細かに説明する必要もないので、メール文作成がラクになります。
活用方法5.取引先と連名リリースを出す
プレスリリースは、取引先との関係構築にも繋がります。
営業にとって取引先との良好な関係構築は大切な仕事です。取引先のPRに繋がるため、取引先との事業提携や、取引先に自社商品・サービスを導入した際には、取引先と連名でプレスリリースを発表しましょう。取引先との関係構築に寄与します。
活用方法6.展示会やイベントで営業ツールとして配布する
展示会やイベントでは、多数の競合が集まる中で来場者に印象を残す工夫が欠かせません。ここで有効なのがプレスリリースを活用した資料配布です。製品カタログだけでは機能的な情報に留まりますが、プレスリリースを添えることで「業界で取り上げられている」「メディア発表済み」といった社会的な裏付けを示せます。
さらに、リリースには開発背景や事業ビジョンが整理されているため、営業担当が説明する内容を補完しやすいのも利点です。配布時にはQRコードを付けてWeb版リリースに誘導すると、来場後のフォローアップにもつながります。
展示会という一過性の場をリード獲得へ転換するために、営業ツールとしてプレスリリースを積極的に活用しましょう。

プレスリリースを営業に活用するときの3つのポイント
プレスリリースが営業の業務にも活用できる方法があることはイメージできたでしょうか。次に、どのようなプレスリリースが営業にも活用しやすくなるのか、そのポイントをご紹介します。
広報担当者は、営業の方にプレスリリースを活用いただく前に、自社のプレスリリースがポイントを満たしているか確認してみましょう。
ポイント1.営業が活用しやすい内容を盛り込む
プレスリリースは商談時などに自社の商品やサービスの説明資料となりえます。そのためには、営業としてアピールすべき情報が盛り込まれている必要があります。特に、以下の内容が盛り込まれているか確認しましょう。
【盛り込むべき内容】
- 商品・サービスの優位性や強み
- 商品・サービスの画像が見やすいものになっているか
- 価格が明瞭に記載されているか
- 商品・サービスを導入した後のイメージ醸成ができるものになっているか
ポイント2.営業の問い合わせ先を明記する
プレスリリースがきっかけとなり、新規顧客から問い合わせが入る可能性があります。すぐに営業担当者に繋げるよう、プレスリリースには広報部署の問い合わせ先だけでなく、プレスリリースで紹介した商品・サービスを担当する営業部署の問い合わせ先を記載しておくと、機会損失を減らすことができます。
ポイント3.URLで共有できるようにする
プレスリリースは、コーポレートサイトやPR TIMESなどのインターネット上にアップしておくことで、営業担当者が取引先にメールやチャットなどで連絡する際に、書類添付せずともURLでプレスリリースを展開できるので便利です。
またSNSでの投稿の際にも活用しやすくなるため、1リリース、1URL取得しておくようにしましょう。
ポイント4.営業現場からのフィードバックを反映する
プレスリリースを営業活用する際、広報部門と営業部門が分断されてしまうことは大きな課題です。リリースは「社外発信の完了」で終わるのではなく、営業現場での反応をもとにブラッシュアップしていくことが重要です。
例えば、商談先から「もっと導入事例が欲しい」と言われれば、次回のリリースで顧客事例を増やすことが検討できます。また、「価格や仕様について質問が多い」といった声は、リリースのFAQや追記部分に反映することで改善可能です。
営業と広報が双方向に情報を共有する体制をつくれば、リリースは単なる広報物ではなく、営業成果を後押しする戦略的コンテンツに進化します。現場フィードバックを蓄積する仕組みを整えることが成功の鍵です。

プレスリリースを営業に活用するときの3つの注意点
営業担当者がプレスリリースを商談や提案に活用する際には、いくつかの注意点があります。誤った使い方をすれば、信頼を損なうリスクや情報漏えいのリスクにつながりかねません。以下のポイントを事前に共有しておくことで、安心して営業活動に組み込めます。
注意点1.最新の情報か確認をする
プレスリリースに記載されている販売実績や導入事例などの数値は、配信当時のものです。その後のアップデートがある場合、古い数字をそのまま顧客に伝えてしまうと誤解や信頼低下につながります。活用する前に必ず社内の最新データと照合し、必要に応じて「リリース時点の情報」と断りを添える工夫が求められます。
注意点2.情報解禁前に開示しない
プレスリリースは、本来記者が記事を書くための情報源であり、取材や、テレビ番組に取り上げてもらうきっかけとなる文書です。記事にする情報には鮮度があり、既に世に出てしまった情報は取り扱われない可能性があります。
そのため、情報が世に出てしまわないようにするためにも、プレスリリース発表前に取引先にプレスリリースを送ってしまうことのないように注意しましょう。営業でプレスリリースを活用する際には、念のため情報解禁日を共有・確認しておくと安心です。
注意点3.メディア関係者のみに案内しているプレスリリースかどうか確認する
プレスリリースの中には、記者向けイベントの案内やメディア限定の内容など、一般公開を前提としていないものも存在します。営業が誤って外部共有してしまうと、企業イメージを損なうだけでなく、取引先からの信頼を失うことにもつながります。どのリリースが営業活用可能かを明確に社内でアナウンスし、利用ルールを整備しておくことが大切です。

プレスリリースを営業に活用した事例3選
最後に、プレスリリースを営業に活用した事例を紹介します。
事例1.Ubie株式会社
Ubie株式会社は、プレスリリース「【緊急提供】新型コロナウイルス感染症拡大を受け、「AI問診ユビー for クリニック」を利用料一年分無償で全国のクリニックに提供開始」を発表した際に、社員全員が積極的にSNSで拡散をしています。
これにより、プレスリリースをきっかけとして、新規顧客からの問い合わせにつながっています。Ubie株式会社のプレスリリースのように、プレスリリース内にサービスへの申込み方法を明記しておくと顧客にとっても親切です。
事例2.株式会社クララオンライン
株式会社クララオンラインは、新規顧客のリード獲得のためにカンファレンスを開催。その告知をプレスリリース「挑戦し、変革する組織のための IT・ビジネスカンファレンス 「The Border 2020」を12月3日に開催」で行いました。
これにより、イベント参加者の集客ができ、結果的に新規顧客のリード獲得に貢献しています。株式会社クララオンラインのように、イベントページ同様に、イベントの詳細を記載することで、プレスリリースを見ただけでイベントの内容を伝えることができるため、集客につながりやすくなります。
事例3.Fastly株式会社
Fastly株式会社が発表したプレスリリース「Retty、Fastly により最適な画像配信と運用レスな環境を構築」では、取引先への自社サービス導入結果を紹介しています。
Fastly株式会社のように、導入した実績のみならず、その後の取引先の成功事例まで紹介すると取引先のPRにもつながります。
営業に活用してもらえるよう、プレスリリースを配信したら社内に共有しよう
本記事では、プレスリリースを営業に活用する方法とそのポイントについてご紹介しました。
プレスリリースは、自社の新情報が簡潔にわかりやすくまとまっている文書です。そのため、自社の新情報を社外に伝える部門で活用いただけるツールとなります。
広報PR活動によってメディア掲載された実績は、その分野において注目を集めていることの説得材料となるため、営業活動のシーンで活用されることを耳にします。
有効に活用してもらうためにも、プレスリリースを発表したことを広報担当者からも社内へ積極的に共有するようにしましょう。
プレスリリースを営業に活用する方法に関するQ&A
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